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小説や評論を書きつつ短歌も作っている私の読書日記。毎日出会うさまざまな本への思いを中心に、日々の出来事やその感想についても綴ります。おつきあいいただければうれしいです。

有川浩「図書館戦争」

ここしばらくのあいだ読んだうちでもナンバーワンの小説です。
言論統制から図書館の自由を守る武装組織、「図書隊」が結成された近未来の東京が舞台。高校生の頃自分を助けてくれた「王子様」の図書隊員に憧れて入隊した新米の図書隊員、笠原郁の奮闘ぶりを描いています。直属の上司、堂上篤(どうじょう・あつし)と何かにつけて衝突しながらも次第に成長してゆく郁の姿はとても愛おしいです。
ことあるごとに郁の軽率な行動に雷を落とす堂上は、一見こわもての融通の効かない男に見えるのだけれど、ほんとうは冷徹な外面の裏に熱い心を隠していて、とても魅力的です。ただ熱いだけではなくユーモアのセンスがあるところもまたいいです。久しぶりで小説の登場人物に入れ込んでしまいました郁より五センチも背が低いことも、まあいっかと思わず見逃してあげたくなります。堂上篤という名前がまたいいですね。これほどキャラクターにぴったりのネーミングはなかなかありません。
はじめは一見ラノベ風の軽いノリの会話にちょっと引きそうになったのですが、よく読んでみると、すごくきっちりとした堅実な文体、よく作りこまれた世界観に支えられて書かれていることがわかるんです。文章のうまさはもちろんだけど、ストーリーの運びが巧みで、この先どうなるんだろうとぐいぐい読ませる力があります。キャラクターもそれぞれが個性的に描き分けられています。
終わりのほうで明かされる、郁の憧れの「王子様」の意外な素顔はちょっと予想外でした。でもこれが続巻にどう生きてくるのか、すごく楽しみです。
いい本に出会って、とても幸せな気分。
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プロフィール

Serenie

Author:Serenie
セリーニーと読みます。東京に住む女性です。
小説や評論を書いています。短歌も作ります。
翻訳の経験もあり、訳書が一冊あります。
趣味は読書のほか、音楽・演劇・美術鑑賞など。

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