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小説や評論を書きつつ短歌も作っている私の読書日記。毎日出会うさまざまな本への思いを中心に、日々の出来事やその感想についても綴ります。おつきあいいただければうれしいです。

内田樹・石川康宏「若者よ、マルクスを読もうⅡ」

著者は両氏とも尊敬する書き手です。特に内田樹氏の著書は、深い内容をユーモラスで生き生きとした文体で巧みに語ってくれるものとして愛読しています。以下、引用します。

「いまの日本社会は階層の二極化、階層分化が急激に進んでいますよね。国民的な資源も権力も財貨も文化資本も情報も、すべてが少数の富裕層、超富裕層に集中し始めている。……法律や社会制度がすべて富裕層にとって有利なものに改変され、富裕層の支配が恒久化するように作り替えられている。……
マルクスは……「万国のプロレタリアート、団結せよ」と書いていますね。僕は階層二極化に対する有効な処方箋は、結局それしかないんじゃないかと思っています。
 いま起きている階層の二分化というのは、市民の原子化が進んで、弱者たちが連帯することを止めてしまったことの結果だと思うんです。……弱者同士で連帯しなければ救われないのだけれど、その当の弱者たち同士が、お互いに競合し合い、奪い合い、足を引っ張り合っており、決して連帯が成立しないように社会の仕組みが作り込まれている。だから、収奪されているもの、疎外されているものは世界的なスケールで連帯しなければいけないという「古い物語」にもう一度息を吹き込む必要があるんじゃないか。……
……現在のグローバル資本主義システムでは、市民たちを連帯させないということが死活的に重要になっているんです。ということは、逆から見れば、連帯することによって、この流れは止められるのではないか。僕は、そう思うんです」(内田)

これを読んで、こんなふうに思いました。

弱者の連帯はたやすいことではない。彼らの多くは大企業に雇われており、その意味では「敵」の内部に取り込まれていて、「敵」を儲けさせるために働かなくてはならない身の上なのだから、問題は複雑化する。また、若者と老人、私企業の社員と公務員などの間にも「利害関係」があるかのように喧伝されており、そうした宣伝に乗せられないだけの賢さを持たなければならない。弱者が内部で内輪もめを起こしていれば、「敵」には思うつぼなのだから。労働者の一人一人が、自分は「弱者たち」の一員なのだということを素直に受け入れ(そもそも自分が弱者だと認めたがらない人もいるから)、その上で、連帯するさまざまな方法を、現実に目をつぶらずに真剣に考えるしかないと思う。

SEALsなどの活動を見ると、最近の若い世代はSNSなどのツールを巧みに使って、巧みに連帯を実現しているように見える。すばらしいことだと思う。この流れが一時的なものではなく、恒常化するなら、支配層にとっても油断のできない強敵になるのではないか。高校生にデモへの参加を学校に届け出させるなどという最近の自民党の動きを見ていると、彼らが新しい世代の巧みな連帯ぶりを警戒していることが明らかに見てとれる。

この本には他にも興味深い記述がたくさんあるので、また改めて書き込みたいと思います。お読みいただければうれしいです。
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プロフィール

Serenie

Author:Serenie
セリーニーと読みます。東京に住む女性です。
小説や評論を書いています。短歌も作ります。
翻訳の経験もあり、訳書が一冊あります。
趣味は読書のほか、音楽・演劇・美術鑑賞など。

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